2025年10月7日 カリフォルニア州で、2025年9月26日、州議会法案45号 (AB 45) が成立し、即日発効した。同法は、医療サービス、家族計画サービスに関連する個人データ保護と位置データ(location data) の保護を強化し、限られた例外を除いてセンシティブな健康関連位置データ (sensitive health-related location data) の取得、販売、共有及びジオフェンシングを禁じる。また、州外からの召喚状 (subpoenas) や法的措置に対応するものであっても、生殖健康 (reproductive health) 関連の調査記録の提供を禁じる。AB 45は、同法違反により得られた罰金をカリフォルニア生殖に関する健康及び自由基金(California Reproductive Health and Freedom Fund)に充てるよう定めている。同基金は生殖健康、性教育及び啓発活動への助成金を支援するものである。
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【What’s Happening】
AB 45 第1798.99.91条 – 家族計画センター ( family planning centers) における個人情報の保護
- 家族計画センター内又はその近くに来た者の個人情報を取得、利用、開示、販売、共有又は保持することは違法とする
- ただし、法律又は従業員組織との合意で定められた場合は除く
- 個人情報の取得又は利用は、当該個人が求めたサービス、物品提供に必要な範囲でのみ許容される
- 被害を受けた個人・団体は、違反行為を発見してから3年以内であれば差止め、損害賠償、弁護士費用を求める民事訴訟の提起が可能
- 裁判所は実損害額の3倍に相当する賠償額、裁判費用及び相当な弁護士費用を認める可能性がある
- 適用される州、および連邦プライバシー法を遵守する限りにおいて、医療提供者(health care providers)、医療サービスプラン(health care service plans)、コントラクタ(contractors)、規制を別途受ける法人(covered entities)、委託先 (business associate)は除外する
- 法執行機関が地理的位置データ(geolocation data)を含む個人情報を利用できるとする現行法を変更するものではない
AB 45 第1798.99.92条 – 医療機関 (health care entities) におけるジオフェンシングの制限
- 対面で医療を提供する医療機関 (in-person health care entities ) の患者や職員に対して、個人情報の特定、追跡及び取得、通知の送信、広告の送信といった目的でジオフェンシングを用いることは違法である
- 上記目的のために個人情報をサードパーティーに販売又は共有することも違法とする
- 上記目的に利用しないことについての宣誓書に署名した場合には、販売・共有が許される
- これらの規則に違反して得た個人情報を利用することは禁止する
- 違反に対しては、差止命令(injunctions )が出され、違反ごとの25,000ドルの民事罰金 (civil penalties) が科される
- 罰金はカリフォルニア生殖に関する正義及び自由基金(California Reproductive Justice and Freedom Fund)に組み入れられる
- 以下の場合は例外とする:
- 新生児や記憶障害者への警告サービス等、必要なサービスを提供する自社の医療施設の運営者
- 生殖医療機関 (reproductive health care facilities) における患者、職員や施設への警備
- 適法な令状 (warrants) や召喚状 (subpoenas)、又は死亡、あるいは傷害 (injury)の重大なリスクをもたらす緊急事態 (生殖医療サービスを除く)
- 連邦法令に基づくインフォームドコンセントを得た研究
- 職場安全、労働争議又は組織化を目的として労働者組織や従業員組織がジオフェンシングを行う場合 (同意なしに個人情報を取得しない場合)
AB 45 第1798.99.93条 – 研究記録の保護
- 個人を特定する医療サービス (Personally identifying research records) に関する研究記録又は個人情報の開示を制限するものとする
- 当該記録は、生殖に関するプライバシー法 (Reproductive Privacy Act)に抵触する他州の法令に基づく召喚状や請求、あるいは外国の刑事・民事訴訟(Foreign penal civil actions)に対して開示することはできないものとする
- 法執行機関によるアクセスは、正当な召喚状に基づく場合を除き、当該法令または措置の執行を目的として禁止されている
AB 45 第140条 – カリフォルニア生殖に関する健康と自由基金 (RJ 基金) (California Reproductive Justice and Freedom Fund, RJ Fund)
- RJ基金は、構造的な生殖及び性的健康の不平等 (systemic reproductive and sexual health inequities)を解消するための教育、啓発活動、革新的戦略立案を行うために設立された
- 州公衆衛生局は、適性を有する地元の団体に対し、3年間にわたり助成金を交付する
- 申請書は2023年7月1日までに公開する
- 助成金支給決定は2023年12月31日までに実施する
- ジオフェンシング規則 (geofencing rules) 違反による民事罰金は、このRJ 基金に組み入れられる
- 助成金は、生殖に関する正義を促進するために、医学的に正しく、文化に沿った生殖及び性的健康教育プログラムに利用されなければならない
- 教育プログラムには中絶の権利、ケア、紹介情報を含めなければならない
- 歴史的な、又は現在進行形の生殖健康の不平等を内包するコミュニティを対象とする
償還 (Reimbursement)
本法により、犯罪や罰則が創出、廃止又は変更されることに伴い生じる、地方自治体や教育学区の費用増加に対し、州からの償還は行わない。